ベトナム料理

ベトナム定番フルーツ30選!完全網羅のフルーツ図鑑

Vietnamese Fruits

南国の太陽をたっぷりと浴びて育った、色とりどりのフルーツ。

ベトナムを訪れる楽しみの一つは、この新鮮でエネルギッシュな果物たちとの出会いではないでしょうか。しかし、市場や屋台にずらりと並ぶ見慣れないフルーツを前に、「これは何?」「今が一番おいしいのはどれ?」「どうやって食べるのが正解?」と戸惑ってしまうことも少なくありません。

この記事は、そんな疑問をすべて解決する、まさにベトナムフルーツの「完全網羅図鑑」です。あなたのベトナム滞在が、もっと甘く、もっとジューシーなものになることをお約束します。

ベトナムのフルーツを最大限楽しむ3か条

ベトナムのフルーツを心ゆくまで味わうためには、いくつかのコツがあります。

まず最も重要なのは「季節と産地を押さえる」ことです。

ベトナムは南北に長い国のため、同じ果物でも地域によって旬が異なります。夏(5月から8月)にはドリアンやマンゴスチン、ライチなどが旬を迎え、冬(12月から2月)はスターアップルなどが美味しくなります。

旅の時期と訪れる場所で最高の味覚に出会うため、旬を意識することが大切です。

次に、「“追熟型”か“即食型”かを見極める」こともポイントです。パパイヤのように、購入してから常温で置くことで甘みが増す「追熟型」のフルーツがある一方で、ドラゴンフルーツのように木になった状態で完熟を迎え、それ以上は追熟しない「即食型」のフルーツもあります。すぐに食べるのか、数日後に食べるのかを考えて選ぶと、がっかりすることが減るでしょう。

最後に、現地の屋台で購入する際は「洗浄・氷・カット法を指定する」のが賢い楽しみ方です。衛生面が気になる場合は、皮を剥く前にきれいに洗ってもらうようお願いしたり、お腹を冷やしたくない時は氷なしでジュースを注文したりと、簡単なベトナム語でリクエストが可能です。これらのコツを押さえるだけで、ベトナムフルーツの体験は格段に豊かになります。

旬カレンダー(北部・中部・南部の目安)

ベトナムは地域によって気候が大きく異なるため、フルーツの旬も一様ではありません。北部、中部、南部それぞれの季節の移ろいに合わせて、市場に並ぶフルーツの顔ぶれも変わっていきます。あなたの渡航月に合わせて、どの地域で何が最もおいしい時期を迎えるのか、大まかな目安を知っておきましょう。

春から初夏(3月~6月)にかけては、国中がフルーツで活気づく季節です。南部ではマンゴーがピークを迎え、濃厚な甘みを増します。中部のフエ周辺では4月から6月にかけてランブータンやマンゴーが旬となります。そして、5月下旬から7月にかけては、北部が誇るライチのシーズンが到来し、市場は鮮やかな赤色で埋め尽くされます。

雨季から乾季(7月~2月)にかけても、楽しみは尽きません。南部では7月から8月にかけてロンガンやジャックフルーツが旬を迎えます。中部や南部で人気のドラゴンフルーツは、年間を通して収穫されますが、特に5月から8月が最盛期です。高原リゾートのダラット周辺では、涼しい気候を活かして冬から春にかけてイチゴが栽培されます。旧正月(テト)が近づくと、お供え物として需要が高まるスイカやポメロ(ザボン)などが豊富に出回ります。

図鑑の見方(共通テンプレート)

本図鑑では、30種類のフルーツを分かりやすく紹介するため、以下の共通テンプレートを使用しています。市場やお店で気になったフルーツの情報を素早くチェックできるようご活用ください。

ベトナム語名/英名
味の指標:甘み・酸味・香り・果汁・食感を5段階で主観的に評価しました。
:最も美味しく、多く出回る時期の目安です。
主産地:特に栽培が盛んな地域や省の名前です。
選び方:新鮮で美味しい果物を見分けるためのポイントです。
食べ方:生食のほか、ジュースやデザートなど、おすすめの楽しみ方を紹介します。
保存:購入後の適切な保存方法と、追熟の可否について記載しています。
ひと口メモ:アレルギー情報や注意点など、知っておくと役立つ豆知識です。


【ベトナムフルーツ】王道10選(初めてでも外さない定番)

マンゴー(Xoài)

ベトナム語名/英名:Xoài / Mango
味の指標:甘み 5/酸味 3/香り 4/果汁 4/食感 4
:4月~6月
主産地:メコンデルタ地方
選び方:皮にツヤがあり、ふっくらとしていて、甘い香りが立つものが食べ頃です。表面に黒い斑点が出始めたら熟しているサインです。
食べ方:熟した果肉は生で食べるのが一番です。まだ青くて硬いマンゴーは、細切りにしてサラダにしたり、塩唐辛子をつけてスナック感覚で楽しまれます。
保存:熟していないものは常温で追熟させ、熟したものは冷蔵庫で保存し早めに食べましょう。
ひと口メモ:品種が非常に豊富で、甘みが強い「Xoài Cát Hòa Lộc(ソアイ・カット・ホア・ロック)」などが人気です。

ドラゴンフルーツ(Thanh long・白/赤)

ベトナム語名/英名:Thanh long / Dragon Fruit
味の指標:甘み 2/酸味 1/香り 1/果汁 4/食感 3
:ほぼ通年(ピークは5月~8月)[2]
主産地:ビントゥアン省、メコンデルタ地方
選び方:皮の色が鮮やかで、ハリがあるものを選びましょう。表面の鱗のような部分がしなびていないものが新鮮です。
食べ方:半分にカットし、スプーンですくって食べるのが簡単です。[4] 見た目の鮮やかさから、ジュースやスムージー、デザートの飾りつけにも使われます。[4]
保存:冷蔵庫で保存しますが、追熟しないため早めに食べるのがおすすめです。
ひと口メモ:果肉が白いものと、ポリフェノールが豊富な赤い(紫色の)ものがあります。味はさっぱりとしており、ほのかな甘みとシャキシャキした食感が特徴です。[4][5]

バナナ(Chuối)

ベトナム語名/英名:Chuối / Banana
味の指標:甘み 4/酸味 1/香り 3/果汁 2/食感 4
:通年
主産地:ベトナム全土
選び方:皮に傷がなく、シュガースポット(黒い斑点)が出ているものが甘く熟しています。
食べ方:生食のほか、揚げバナナ(Chuối chiên)や、ココナッツミルクで煮たデザート(Chè chuối)など、調理しても楽しまれます。
保存:常温で保存し、追熟させます。冷蔵庫に入れると皮が黒くなりますが、中身は食べられます。
ひと口メモ:ベトナムには多くの品種のバナナがあります。特に、指のように小さく、もちもちとした食感と濃厚な甘みが特徴の「chuối cau(チュオイ・カウ)」は試す価値ありです。[7]

パイナップル(Dứa/Khóm)

ベトナム語名/英名:Dứa (北部), Khóm (南部) / Pineapple
味の指標:甘み 4/酸味 3/香り 4/果汁 5/食感 4
:通年(ピークは暑い時期)
主産地:ティエンザン省などメコンデルタ地方
選び方:ずっしりと重みがあり、下ぶくれの形で、甘い香りがするものが良いです。葉の色が濃く、生き生きしているものを選びましょう。
食べ方:屋台で渦巻き状にカットしてもらうのが手軽でおすすめです。ジュースや炒め物、スープの具材としても使われます。
保存:逆さまにして常温で置いておくと甘みが全体に行き渡ります。カットしたものは冷蔵保存してください。
ひと口メモ:ベトナムのパイナップルは芯まで食べられるほど柔らかく甘い品種が多いのが特徴です。

パパイヤ(Đu đủ)

ベトナム語名/英名:Đu đủ / Papaya
味の指標:甘み 4/酸味 1/香り 3/果汁 4/食感 5
:通年
主産地:ベトナム全土
選び方:果物として食べるなら、皮がオレンジ色に変わり、甘い香りがし、軽く押すと少しへこむくらいの柔らかさのものが完熟です。
食べ方:熟したものは生で。青いパパイヤは千切りにして、牛肉やエビなどと和えたサラダ(Gỏi đu đủ)として食べるのが定番です。
保存:緑色のものは常温で追熟させます。熟したものは冷蔵庫で保存してください。
ひと口メモ:パパイン酵素が豊富で消化を助けると言われています。追熟型のフルーツなので、食べるタイミングを調整しやすいのが魅力です。

ココナッツ(Dừa)

ベトナム語名/英名:Dừa / Coconut
味の指標:甘み 3/酸味 1/香り 3/果汁 5/食感 2
:通年
主産地:ベンチェ省などメコンデルタ地方
選び方:若い実(Dừa xiêm)はずっしりと重く、振ると中の水分が揺れる音がするものが新鮮です。
食べ方:若い実は、中のココナッツウォーターをストローで飲むのが一般的です。飲んだ後は、内側の白い胚乳をスプーンで削って食べることもできます。
保存:購入後は早めに飲むのが一番です。冷蔵庫で冷やすとより美味しくいただけます。
ひと口メモ:屋台で注文する際は、氷を入れるか(Có đá)、入れないか(Không đá)を伝えましょう。

ライチ(Vải)

ベトナム語名/英名:Vải / Lychee
味の指標:甘み 5/酸味 2/香り 5/果汁 5/食感 4
:6月~7月
主産地:ハイズオン省、バクザン省など北部
選び方:皮が鮮やかな赤色で、張りがあり、トゲが立っているものが新鮮です。
食べ方:皮を手で剥いて、みずみずしい果肉を生で味わいます。 チェー(ベトナム風ぜんざい)の具材としても人気です。
保存:乾燥に弱いので、濡れた新聞紙などに包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:初夏の風物詩で、特に北部の名産品として知られています。 皮が薄く、種が小さいものが上質とされています。

ロンガン(Nhãn)

ベトナム語名/英名:Nhãn / Longan
味の指標:甘み 4/酸味 1/香り 4/果汁 4/食感 3
:7月~8月
主産地:フンイエン省、南部各省
選び方:枝付きで、実がふっくらとしていて皮に張りがあるものを選びましょう。
食べ方:薄い皮を指で割って、中の半透明の果肉を食べます。ライチ同様、チェーの材料としてもよく使われます。
保存:冷蔵庫で保存しますが、日持ちはしないので早めに食べましょう。
ひと口メモ:「龍の眼」を意味する名前の通り、黒い種が透けて見える様子が特徴的です。ライチよりも小粒ですが、独特の香りとジューシーな甘みがあります。

ランブータン(Chôm chôm)

ベトナム語名/英名:Chôm chôm / Rambutan
味の指標:甘み 4/酸味 2/香り 2/果汁 4/食感 4
:4月~6月
主産地:メコンデルタ地方
選び方:毛(突起)が赤く、生き生きとしているものが新鮮です。毛先が黒ずんでいるものは鮮度が落ちています。
食べ方:皮に軽く切れ目を入れて、指でひねるように割ると、つるんとした果肉が出てきます。
保存:乾燥しやすいため、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存し、2~3日中に食べきるのがおすすめです。
ひと口メモ:マレー語で「毛深いもの」を意味する名前の通り、ユニークな見た目が特徴です。ライチやロンガンに似た、クリアな甘さとぷりっとした食感が楽しめます。

マンゴスチン(Măng cụt)

ベトナム語名/英名:Măng cụt / Mangosteen
味の指標:甘み 5/酸味 4/香り 4/果汁 5/食感 5
:5月~8月
主産地:メコンデルタ地方
選び方:皮が鮮やかな紫色で、弾力があるものを選びましょう。ヘタが緑色のものが新鮮です。
食べ方:果実の真横にぐるりとナイフで浅く切れ込みを入れ、上下にひねると綺麗に割れます。中の白い房を生でいただきます。
保存:常温で保存できますが、冷蔵庫で冷やすとより一層美味しくなります。
ひと口メモ:「果物の女王」と称される上品な味わい。 甘みと酸味のバランスが絶妙で、とろけるような食感が魅力です。お尻のヘタのような模様の数が、中の房の数と同じになっています。

【ベトナムフルーツ】ジュース&デザート向き8選(酸味や香りが爽快)

パッションフルーツ(Chanh dây)

ベトナム語名/英名:Chanh dây / Passion Fruit
味の指標:甘み 2/酸味 5/香り 5/果汁 4/食感 3
:通年
主産地:中部高原地帯
選び方:皮が紫色になり、表面に少しシワが寄り始めた頃が完熟のサインです。
食べ方:半分に切って、中の種ごとゼリー状の果肉をスプーンですくって食べます。ソーダで割ったジュース(Nước chanh dây)や、ヨーグルトのソースにするのが定番です。
保存:常温で追熟させ、完熟後は冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:華やかでトロピカルな香りが特徴です。その名前の「パッション」は「情熱」ではなく「キリストの受難」に由来すると言われています。

グアバ(Ổi)

ベトナム語名/英名:Ổi / Guava
味の指標:甘み 2/酸味 2/香り 3/果汁 3/食感 4
:通年
主産地:メコンデルタ地方
選び方:皮にハリとツヤがあり、緑色が鮮やかなものを選びます。熟すと少し黄色みがかり、香りが強くなります。
食べ方:皮ごとくし切りにして、塩唐辛子(muối ớt)をつけて食べるのがベトナム流です。フレッシュジュースとしても人気があります。
保存:ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:リンゴと梨を合わせたようなシャリシャリとした食感と、独特の青い香りが魅力です。ビタミンCが非常に豊富です。

スターフルーツ(Khế)

ベトナム語名/英名:Khế / Star Fruit
味の指標:甘み 3/酸味 3/香り 2/果汁 5/食感 3
:通年(ピークは年に2回)
主産地:メコンデルタ地方
選び方:果実全体が黄色く色づき、ハリがあるものが甘く熟しています。緑色のものは酸味が強いです。
食べ方:輪切りにすると綺麗な星形になります。皮ごと生で食べるほか、ジュースや、酸味を活かして甘酸っぱいスープ(Canh chua)にも使われます。
保存:冷蔵庫で保存し、早めに食べましょう。
ひと口メモ:シュウ酸を含むため、腎臓に疾患のある方は摂取を控えた方が良いとされています。

スイカ(Dưa hấu)

ベトナム語名/英名:Dưa hấu / Watermelon
味の指標:甘み 4/酸味 1/香り 2/果汁 5/食感 4
:通年(特にテト前後に需要増)
主産地:ベトナム全土
選び方:縞模様がはっきりしていて、ツルの付け根が少しへこんでいるもの。叩いた時に澄んだ音がするものが良いです。
食べ方:よく冷やして生で食べるのが一番です。 スムージー(Sinh tố)も定番です。
保存:丸ごとなら風通しの良い涼しい場所で。カットしたものはラップをして冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:ベトナムの旧正月(テト)には、幸運を呼ぶ縁起物として祭壇に飾られる重要な果物です。

サワーソップ(Mãng cầu xiêm)

ベトナム語名/英名:Mãng cầu xiêm / Soursop
味の指標:甘み 3/酸味 4/香り 4/果汁 4/食感 4
:通年
主産地:メコンデルタ地方
選び方:皮が緑色で、少し柔らかくなってきたものが食べ頃です。
食べ方:ヨーグルトやコンデンスミルクと混ぜてスムージーにするのが最もポピュラーな楽しみ方です。
保存:常温で追熟させ、柔らかくなったら冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:パイナップルとバナナを合わせたような、独特のトロピカルな香りと爽やかな酸味が特徴。繊維質の多い果肉です。

シュガーアップル/釈迦頭(Na/Mãng cầu ta)

ベトナム語名/英名:Na, Mãng cầu ta / Sugar Apple
味の指標:甘み 5/酸味 1/香り 3/果汁 3/食感 5
:7月~8月
主産地:南部、北部
選び方:皮の節の間が開き、白っぽくなってきたものが熟しています。軽く押して柔らかさを感じるものが食べ頃です。
食べ方:手で簡単に割れるので、中の白い果肉をスプーンですくって食べます。黒い種は食べられません。
保存:硬いものは常温で追熟させます。熟したものは非常に柔らかいので、冷蔵庫で保存し、すぐに食べましょう。
ひと口メモ:お釈迦様の頭に似ていることから「釈迦頭」とも呼ばれます。カスタードクリームのような、ねっとりと濃厚な甘さが特徴です。

タマリンド(Me)

ベトナム語名/英名:Me / Tamarind
味の指標:甘み 3/酸味 4/香り 2/果汁 1/食感 2
:通年
主産地:メコンデルタ地方
選び方:さやがふっくらとしていて、割れていないものを選びましょう。
食べ方:殻を割って中のペースト状の果肉を食べます。甘酸っぱい味を活かし、ジュース(Đá me)やお菓子、料理の酸味付けなど幅広く使われます。
保存:乾燥した冷暗所で保存します。
ひと口メモ:干し柿のようなねっとりとした食感と、フルーティーな酸味が特徴。ビタミンやミネラルが豊富です。

カラマンシー(Tắc/Quất)

ベトナム語名/英名:Tắc (南部), Quất (北部) / Calamansi
味の指標:甘み 1/酸味 5/香り 4/果汁 4/食感 2
:通年
主産地:ベトナム全土
選び方:皮の色が鮮やかで、ハリがあるものを選びましょう。
食べ方:ライムのように、ジュースや料理の風味付けに使います。はちみつと合わせてお湯で割ったホットドリンクは、喉の痛みを和らげると言われています。
保存:ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:スダチやシークワーサーに似た小さな柑橘類。爽やかな香りとキレのある酸味が、ベトナム料理に欠かせない名脇役です。

【ベトナムフルーツ】香り個性派5選(通好み・上級者向け)

ドリアン(Sầu riêng)

ベトナム語名/英名:Sầu riêng / Durian
味の指標:甘み 5/酸味 1/香り 5/果汁 2/食感 5
:5月~9月
主産地:メコンデルタ地方、中部高原
選び方:ずっしりと重く、甘く濃厚な香りがするものが熟しています。軽く振って、中で果肉が動く音がするものが良いとされます。
食べ方:厚いトゲのある皮を割り、中のクリーム色の果肉を食べます。チェーやアイスクリームなどのスイーツにも加工されます。
保存:香りが非常に強いため、密閉して冷蔵庫へ。早めに食べきるのが鉄則です。
ひと口メモ:「果物の王様」の異名を持つ一方、その強烈な匂いから公共交通機関やホテルへの持ち込みが禁止されていることが多いので注意が必要です。

ジャックフルーツ(Mít)

ベトナム語名/英名:Mít / Jackfruit
味の指標:甘み 4/酸味 1/香り 4/果汁 2/食感 3
:7月~8月
主産地:ベトナム全土
選び方:全体が少し黄色みがかり、甘い独特の香りがしてきたら食べ頃です。
食べ方:果肉を生で食べるほか、乾燥させたチップスも人気のお土産です。[4] 若い果実は肉の代替品として料理に使われることもあります。
保存:カットしたものはラップをして冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:世界最大の果物とも言われます。カットすると粘着性の強い樹液(ラテックス)が出るため、扱う際は油を手に塗るなどの工夫が必要です。

サポジラ/サポチェ(Hồng xiêm/Sapoche)

ベトナム語名/英名:Hồng xiêm, Sapoche / Sapodilla
味の指標:甘み 5/酸味 1/香り 3/果汁 3/食感 4
:通年(ピークは2月~4月)
主産地:北部、南部
選び方:皮が茶色で、指で軽く押すと少しへこむくらいの柔らかさが食べ頃です。硬いものは未熟で渋みがあります。
食べ方:皮を剥いて、中の果肉を食べます。種は食べられません。スムージーにしても美味しいです。
保存:硬い場合は常温で追熟させます。熟したものは冷蔵庫で保存してください。
ひと口メモ:見た目はジャガイモのようですが、黒糖や干し柿を思わせる、ねっとりと濃厚でコクのある甘みが特徴です。

ポメロ(Bưởi)

ベトナム語名/英名:Bưởi / Pomelo
味の指標:甘み 3/酸味 2/香り 3/果汁 4/食感 4
:8月~11月
主産地:ヴィンロン省、ドンナイ省など
選び方:ずっしりと重みがあり、皮にハリとツヤがあるものを選びましょう。
食べ方:厚い皮と薄皮を剥いて、中の大きな果肉の房を食べます。塩唐辛子をつけると甘みが増します。サラダやチェーの具材としても使われます。
保存:皮を剥かなければ冷暗所で長持ちします。
ひと口メモ:日本のザボンや文旦の仲間で、柑橘類の中では最大級の大きさです。[7] グレープフルーツのような苦味は少なく、さっぱりとした甘さとプチプチした食感が楽しめます。

スターアップル(Vú sữa)

ベトナム語名/英名:Vú sữa / Star Apple
味の指標:甘み 4/酸味 1/香り 4/果汁 5/食感 3
:冬(12月~2月)
主産地:メコンデルタ地方
選び方:皮が紫色または緑色でツヤがあり、軽く押した時に弾力を感じるものが良いです。
食べ方:食べる前によく揉んで、果汁を全体に行き渡らせます。半分に切ってスプーンですくうか、小さな穴を開けて直接吸って飲みます。
保存:冷蔵庫で冷やして食べると美味しいです。
ひと口メモ:「ミルクフルーツ」という別名の通り、練乳のようなミルキーな香りと甘い果汁が特徴です。

【ベトナムフルーツ】高原フルーツ5選(ダラット/北部山地)

アボカド(Bơ)

ベトナム語名/英名:Bơ / Avocado
味の指標:甘み 1/酸味 1/香り 2/果汁 1/食感 5
:5月~9月
主産地:ダラットなど中部高原
選び方:皮が濃い緑色で、軽く握った時に弾力を感じるものが食べ頃です。
食べ方:ベトナムではフルーツとして扱われ、コンデンスミルクや砂糖、氷と一緒にミキサーにかけたスムージー「Sinh tố bơ」が絶大な人気を誇ります。
保存:硬い場合は常温で追熟させます。熟したものは冷蔵庫で保存。
ひと口メモ:「森のバター」とも呼ばれます。特に「bơ sáp(ボー・サップ)」と呼ばれる品種は、ねっとりと濃厚でクリーミーな味わいが特徴です。

いちご(Dâu tây)

ベトナム語名/英名:Dâu tây / Strawberry
味の指標:甘み 3/酸味 3/香り 4/果汁 4/食感 3
:冬~春(3月~5月頃)
主産地:ダラット
選び方:ヘタが青々としていて、果実全体が赤く色づき、ツヤがあるものを選びましょう。
食べ方:生で食べるほか、スムージーやジャム、ケーキの材料としても使われます。[3]
保存:傷みやすいので、乾燥しないようにパックなどに入れて冷蔵庫で保存し、早めに食べましょう。
ひと口メモ:涼しい気候のダラットはベトナム最大のいちご産地です。観光客向けのいちご狩り農園も人気があります。

柿(Hồng giòn)

ベトナム語名/英名:Hồng giòn / Persimmon
味の指標:甘み 4/酸味 1/香り 2/果汁 3/食感 4
:11月~12月[2]
主産地:ダラット
選び方:皮にハリがあり、オレンジ色が濃く、ヘタが綺麗に残っているものを選びましょう。
食べ方:ベトナムでは、渋抜きをしてパリパリとした食感を残した「Hồng giòn(硬い柿)」が人気です。干し柿も作られます。
保存:硬いものは常温で置いておくと柔らかくなります。好みの硬さになったら冷蔵庫へ。
ひと口メモ:日本の柿とは少し違う、サクサクとした食感が楽しめるのが特徴です。秋から冬にかけてダラットの市場を彩ります。

ぶどう(Nho)

ベトナム語名/英名:Nho / Grape
味の指標:甘み 3/酸味 2/香り 2/果汁 4/食感 3
:品種によるが通年
主産地:ニントゥアン省
選び方:軸がしっかりしていて、実にハリがあり、ブルーム(白い粉)がついているものが新鮮です。
食べ方:生食が主ですが、一部はワインの醸造にも使われています。
保存:乾燥しないようにビニール袋や新聞紙に包んで冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:ベトナムで最も雨が少ない地域の一つであるニントゥアン省がぶどうの主要産地として知られています。

もも(Đào)

ベトナム語名/英名:Đào / Peach
味の指標:甘み 3/酸味 3/香り 4/果汁 3/食感 4
:夏(6月~7月頃)
主産地:サパ、モクチャウなど北部山岳地帯
選び方:全体が色づき、甘い香りがするものを選びましょう。
食べ方:生食のほか、シロップ漬けにしてお茶のトッピングにするのが人気です。
保存:柔らかい果物なので、優しく扱い、冷蔵庫で保存してください。
ひと口メモ:日本の白桃のように柔らかくジューシーなタイプとは異なり、少し小ぶりで硬めの食感が特徴です。

【ベトナムフルーツ】ローカル珍品2選(見かけたら試したい)

ランサット/ロンコン(Bòn bon/Dâu da đất)

ベトナム語名/英名:Bòn bon, Dâu da đất / Langsat
味の指標:甘み 3/酸味 3/香り 2/果汁 4/食感 3
:8月~10月頃
主産地:クアンナム省
選び方:皮が明るい黄色で、黒ずみが少ないものを選びましょう。
食べ方:薄い皮を指で剥いて、中の半透明の房を食べます。大きな房には苦い種が入っていることがあるので注意が必要です。
保存:常温で2~3日持ちますが、冷蔵庫に入れると長持ちします。
ひと口メモ:ジャガイモのような見た目ですが、中はライチに似た果肉が入っています。甘さと酸味のバランスが良く、地元で愛されているフルーツです。

ワックスアップル(Mận miền Nam/Roi)

ベトナム語名/英名:Mận miền Nam (南部), Roi (北部) / Wax Apple
味の指標:甘み 2/酸味 1/香り 2/果汁 5/食感 4
:通年
主産地:メコンデルタ地方
選び方:皮の色が鮮やかで、ツヤがあり、ずっしりと重みを感じるものが水分を多く含んでいます。
食べ方:よく洗って皮ごと食べます。ベトナムではグアバ同様、塩唐辛子をつけて食べることが多いです。
保存:乾燥しないようにビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。
ひと口メモ:リンゴという名前がついていますが、バラ科ではなくフトモモ科の果物です。シャクシャクとした軽い食感と、みずみずしさが特徴で、暑い日の水分補給にぴったりです。

現地で役立つ注文&会話フレーズ

市場や屋台でのやり取りに使える、簡単なベトナム語フレーズです。指差しとジェスチャーでも通じますが、一言添えるだけで、よりスムーズに買い物ができます。

すぐ食べる熟れ具合のものをください。
Cho tôi loại chín ăn liền. (チョー トイ ロアイ チン アン リエン)

氷なしでお願いします。
Không đá. (ホン ダー)

これを洗ってください。
Rửa cái này cho tôi. (ズア カイ ナイ チョー トイ)

ここで切ってください。
Cắt tại đây cho tôi. (カット タイ ダイ チョー トイ)

1kgください。
Cho tôi một ký. (チョー トイ モッ キー)

これはいくらですか?
Cái này bao nhiêu tiền? (カイ ナイ バオ ニュー ティエン?)

甘いですか?
Có ngọt không? (コー ゴッ ホン?)

買い方と選び方の総合ガイド

ベトナムのフルーツを上手に選ぶための基本は、「重さ・香り・色・表面の張り」をチェックすることです。ずっしりと重いものは果汁が豊富で、それぞれのフルーツ特有の甘い香りがするものは熟している証拠です。皮の色が鮮やかで、シワがなくハリがあるものを選びましょう。

マンゴーやパパイヤ、アボカドのような追熟が必要なフルーツは、食べる日から逆算して硬さの違うものを買うのも一つの手です。早く熟させたい場合は、リンゴやバナナと一緒に紙袋に入れておくと、それらが発するエチレンガスの効果で追熟が早まります。

市場や屋台では、衛生面も気になるところです。カットフルーツを購入する場合は、ハエがたかっていないか、清潔な器具を使っているかなどを確認しましょう。不安な場合は、丸ごとのフルーツを購入し、ホテルなどで自分で洗ってカットするのが最も安全です。

保存・持ち帰り・お土産の注意

フルーツの保存は、その種類によって異なります。バナナやマンゴー(未熟なもの)など追熟が必要なものは常温で、ライチやマンゴスチン、カットしたフルーツなど鮮度が落ちやすいものは冷蔵庫で保存するのが基本です。切り口の酸化を防ぐには、レモン汁を少しだけかけると良いでしょう。

生のフルーツを日本へ持ち帰ることは、植物検疫法により原則として禁止されています。多くの果物が検査証明書が必要となり、個人での持ち込みは非常に困難です。お土産にするなら、ドライフルーツやジャム、フルーツチップスなどが検疫の心配もなく、手軽でおすすめです。

また、ドリアンのように香りの強いフルーツは、多くのホテルで持ち込みが禁止されています。部屋に持ち帰る前に、ホテルのルールを確認することを忘れないでください。

よくある質問(FAQ)

Q. 香草が苦手でも食べやすいフルーツは?
A. マンゴー、バナナ、パイナップル、スイカ、マンゴスチンなど、香りにクセがなく、世界的に親しまれているフルーツはどなたでも食べやすいでしょう。グアバやスターアップルなど、独特の香りを持つものは好みが分かれるかもしれません。

Q. 糖質控えめで選ぶなら?
A. グアバ、ポメロ、ドラゴンフルーツなどは、他のトロピカルフルーツに比べて比較的甘さが控えめです。アボカドは糖質が少なく、良質な脂質が豊富です。

Q. お腹に優しいのは?
A. パパイヤには消化を助ける酵素が含まれています。また、バナナは消化が良く、エネルギー補給にも適しています。ただし、食べ慣れないフルーツを一度にたくさん食べるとお腹を壊す可能性もあるので、少しずつ試すのがおすすめです。

Q. 屋台とスーパー、どっちが安全?
A. 一般的に、品質管理や衛生面ではスーパーマーケットの方が安心感があります。しかし、市場や屋台では、より新鮮で旬のものが手に入ったり、珍しい品種に出会えたりする魅力があります。カットフルーツではなく丸ごと購入し、自分で洗って食べるのであれば、屋台でも問題ないことが多いです。

まとめ:ベトナムのフルーツは多種多様!現地でぜひ楽しんで

ベトナムのフルーツの世界は、知れば知るほど奥深く、魅力的です。その本当の美味しさを引き出す鍵は、「季節」「産地」「食べ方」の三拍子を揃えることにあります。まずはマンゴーやマンゴスチンといった王道のフルーツから試してみて、次にドリアンやジャックフルーツのような個性派に挑戦してみるのも良いでしょう。

旅の締めくくりには、ぜひ現地のスタイルに倣って、フルーツに塩唐辛子をつけてみてください。意外な組み合わせが甘みを一層引き立て、忘れられない味覚体験となるはずです。この図鑑を片手に、あなただけの最高のベトナムフルーツを見つける旅へ出かけましょう。